【財産分与と退職金】 離婚のときは、退職金も分けるのでしょうか?
熟年離婚などのケースでは、財産分与で退職金が問題となることがあります。
「退職金も、財産分与で分けるのでしょうか?」という問題です。
退職金は、多額のことが多いですね。だから、ご夫婦それぞれの離婚後の生活を考えても、「退職金を財産分与で分かるかどうか」は、大問題です。
この問題の基本的な考え方は、「退職金は、給料の後払いの性格を持っているから、財産分与で分けなければならないことがある。」という点にあります。
ちょっと分かりにくいですね。
誤解を恐れずに言ってしまうと、夫が会社から貰う給料には、夫が会社で働くだけではなく、そこには、家事や子育てという妻の協力・貢献もあります。給料にも、妻の協力・貢献があり、夫婦が協力して築いている、ということです。
そして、退職金は、この給料の後払いという意味もありますから、やはり、夫婦が協力して築いている、ということです。
退職金が、夫婦が協力して築いた財産であれば、離婚のときには、夫婦で清算し、分配する必要があることになります。
では、具体的に、ケースを分けて見ていきましょう。
離婚の時までに、既に、退職金を受け取っているケースです。
預金している場合が典型的かも知れませんが、このケースでは、退職金は、財産分与の対象となります。
預貯金ではなく、他の財産に形を変えている場合でも、同じですね。
退職金の支給はされていませんが、離婚の時には、退職金の支給が決定されているケースです。
このケースでも、退職金も財産分与の対象となるとされています。
問題は、将来の退職金ですが、これについては近い将来に支給される可能性が高い場合には、財産分与の対象となるとされています。
「近い将来」の時期については、2~3年くらいという指摘もありますし、地方裁判所の判決では、6年後の退職金を財産分与の対象としたものもあります。
協議離婚で、将来の退職金が問題となったときには、会社に退職金についての規則があるのか、退職までの期間がどの程度あるのか等を考慮して、ご夫婦で、財産分与として分けるかどうかを話し合う必要がありますね。
そして、将来の退職金を分けるときには、支払も将来となるでしょうから、なるべく確実な支払いとなるように、公正証書を作るという工夫も必要かもしれません。
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