遺贈では、遺言執行者を決めた方がいい?
遺贈とは、遺言によって遺言者(遺言を作った方)の財産の全部又は一部を無償で譲ることをいいます。例えば、「あの土地を、○○○○さんに遺贈する。」などの場合で、遺言を作る典型例です。
そして、遺言者が亡くなった後で、遺言の内容を実現することを、「遺言の執行」と言い、その「遺言の執行」をする方を遺言執行者と言います。
では、遺贈の場合に、遺言執行者が必要でしょうか?
具体例で、ご説明しましょう。
【 具 体 例 】
Aさんには、内縁の妻Bさんがいます。もう20年以上一緒に暮らしていますが、お2人の考えにより、入籍はしていません。3年前には、Aさんが脳梗塞になりましたが、Bさんの献身的な看護、日常生活への配慮もあって、Aさんは仕事に復帰できるまでに回復しました。しかし、昨年、Aさんは新型コロナウイルスに感染し、Bさんに自分の財産を残したいと思うとともに、遺言の必要性を実感しました。
Aさんは、遺言を確実に実現させたいのですが、遺言には、遺言執行者を定めておいた方がいいのでしょうか?
なお、Aさんのご両親は亡くなっていますが、弟さんが1人いらっしゃいます。
【前提として、大切なこと】
内縁の妻Bさんは相続人ではありません・・・Aさんと入籍していませんから。
そこで、Aさんが、相続人ではないBさんに財産を残すためには、遺言を作って遺贈する必要があるのです。
そして、Aさんには、相続人である弟さんがいることが重要です。
【遺言に、遺言執行者を定めなかった場合】
遺言執行者を定めなかった場合には、遺言の執行は相続人が行うのが原則です。つまり、Aさんの弟さんが遺言の執行を行うのが原則ということです。
そうすると、弟さんの非協力的な態度があれば、遺言(遺贈)の実現がスムーズに行かないかも知れません。
遺言を確実に実現させたいというAさんの希望からすると、心許ないですね。
【遺言に、遺言執行者を定めた場合】
遺言執行者を定めている場合には、遺言の実現は遺言執行者が行います・・・遺言の実現に相続人である弟さんは関与しません。
従って、Aさんのご希望通り、遺言は、確実かつ迅速に実現されますね。
結論 : 遺贈のときには、遺言執行者を定めておくことがお勧め!
◆誰を遺言執行者とするのか?
具体例の場合もそうですが、遺言で財産をもらう方(「受遺者」といいます)を遺言執行者に指定しておけばいいと思います。受遺者がご自分で遺言の執行をすることが難しいのであれば、行政書士などを代理人に選任して、代理人に任せることができますので、受遺者に負担になることはないと思います。
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