離婚の公正証書に住所を載せたくないのですが・・・
「離婚の公正証書を作りたい。」というご依頼があり、色々お話をしていると、「公正証書に住所を記載したくありません。」というご要望がありました。
様々な経験はして来たつもりですが、初めての経験でした。
通常、人物の特定は、お名前と住所でします。例えば、「東京都杉並区今川3-1-22 瓜生和彦」という感じで。
公正証書でも、お名前と住所を記載することが通常です。
しかし、「住所を記載したくない。」というご要望です・・・さぁ、公正証書を作ることはできるのでしょうか?
【ご依頼の事案】
離婚する前に別居し、奥さんはお子さんと新しい住所で生活を始めています。
ご主人は、お酒を飲むとお子さんに暴力を振るうことがあり、奥さんはご主人の暴力からお子さんを守るために、引っ越しをしました。ですから、離婚した後も、ご主人に住所を知られたくはありません。そこで、「住所を記載せずに公正証書を作りたい」とご希望でした。
なお、区役所に相談して、既に、住民票の写し等の交付を制限する措置が取られています。
(注)この問題を理解するためには、公正証書作成時に作られる原本、正本、謄本等の関係等を理解する必要がありますが、そこまで詳しくご説明すると、却って分かりにくくなると思われますので、このページでは、重要な点に絞ってご説明することといたします。ご興味のある方は、お電話により、お問い合わせください。
ご夫婦間で、公正証書の内容について合意ができましたので、公証役場へ連絡し、公証人に公正証書の作成をお願いしました。この時に、ご夫婦の合意内容をまとめた合意書、お子さんの存在が分かる戸籍全部事項証明書、ご夫婦の住所が分かるお2人の免許証のコピーも、公証人にお渡ししました。
その際に、公証人に、ご事情をお話し、「奥さんの住所を記載せずに公正証書は作れないでしょうか?」とお聞きしました。公証人の返事は、「即答はできない。調べてお返事します。」とのことでした。
お返事は、2日後にありました。
結論は、住所を記載しなくても公正証書を作ることはできる。
そして、方法は2つあるそうです。
第1の方法は、公正証書に載せる住所の一部を秘匿する方法(「東京都杉並区」と記載して、以下は記載しないということです)。
第2の方法は、住所の代わりに本籍を使用する方法。
分かりやすいメリットとデメリットとしては、第1の方法であれば、既に公証人にお渡ししている免許証のコピーで公正証書のコピーを作ることができます。しかし、第2の方法では、本籍と免許証の住所をつなげる必要がありますから、住民票の写し(本籍の記載あり)が必要になります。
ここまでの話だと、第1の方法が良いように思いました。
しかし、公証人は、さらに調べてくださって、公証人からの連絡は続きました。
ここから先を理解するためには、「送達」について知っている必要があります。
そこで、簡単に、「送達」のお話をさせてください。
将来、強制執行が必要になったときには、強制執行を開始する前に、公正証書の謄本(コピー)を債務者(例えば、養育費を払う人)へ送る必要があります(これを「送達」と言い、公証人が送ります)。「この約束を忘れていませんか?」と通知するためです。
しかし、公正証書を作る時に、債務者が公証役場に来るのであれば、その場で、債務者へ謄本を渡し、受取証を作ることで、この送達を終わらせることができます。これを、「交付送達」と言います。
公証役場の実務では、通常、公正証書を作成する時には、交付送達が行われます。特に、養育費の支払いは長期間に及び、先々、送達がスムーズにできるとは限りませんので、公正証書を作った時に、交付送達をしておくことが通常です。
話を元に戻しましょう。
公正証書に住所を載せないことは、この「交付送達」で問題があることが分かりました。
【 結 論 】
第1の方法で住所の一部を秘匿すると、それは、公正証書の完全な謄本(コピー)とは言えなくなって、有効な「交付送達」ができないことが分かりました(この問題への対処は、現在、公証人会と裁判所が協議中だそうです)。
そこで、公正証書に住所を載せずに、かつ、有効な「交付送達」をするためには、本籍を公正証書に記載する必要があることが分かったのです。
ご依頼の事案でも、公正証書には本籍を記載し、奥さんの現住所は載せませんでした。そこで、ご主人が、公正証書から奥さんの現住所を知ることはありません。
当事務所のサポートコース
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