戸籍では、親子ではありません。養育費の公正証書は?
実際にあったご依頼の話を、簡略化して要点をご紹介しようと思います。
ご紹介する理由は、私にとって初めて経験する事案だっただけではなく、公正証書を作って頂いた公証人にとっても初めての経験という珍しい事案だったからです。
ご依頼は、離婚の公正証書の作成をお手伝いするというものでした。お子さんが1人いるので、養育費の支払いが中心的な内容となります。
通常、養育費の公正証書作る場合には、ご主人とお子さんの親子関係を戸籍によって証明します。
しかし、この事案の大きな問題は、ご主人とお子さんが実の親子であるにも拘わらず、戸籍上は親子ではないことです。もっと言うと、お子さんは他の男性の子供となっているのです。
戸籍によって、ご主人とお子さんの親子関係を証明することができなかったのです。
【このような事態が生じる理由】
何故、このようなことが起こるかと言うと、民法で、離婚後300日以内に生まれた子供は、離婚した夫の子供と推定されてしまうため、戸籍上の父親と実際の父親に食い違いが生じてしまうのです。
この事案も、これが原因で、実の父親が戸籍上の父親とはなっていなかったのです。
このような場合でも、離婚した夫と子供の親子関係を否定することが出来るのですが(その上で、実の父親が認知します)、この事案では、離婚した夫が親子関係の否定に消極的で(いやがらせの意味もあったのかも知れません)、戸籍上の親子関係が放置されたままとなっていました。
今回離婚するご夫婦としては、お子さんの養育費を支払うという内容の公正証書を作ることをご希望でした。特に、養育費を払って貰う奥さんとしては、不払いのときの強制執行では、養育費の方が有利ですので(ご主人のお給料から天引きの形で
払わせることができます)、養育費という内容で公正証書を作りたかったのです。
ただ、私は、養育費の支払いは親子の間で問題となることで、今回の事案のように戸籍で親子関係を証明できない場合には(もっと言えば、戸籍上は親子ではない場合には)、養育費の公正証書を作ることは難しいかも知れないと考えました。
ですから、公正証書を作成する公証人へは、「養育費の支払いを内容とする公正証書を作りたいが、それが無理なら、生活費の援助という公正証書でも良い」というスタンスで、公正証書の作成をお願いしてみることにしました。
それに対する、公証人のお考えですが、それは以下のようなものでした。
1 基本的には、戸籍上の親子関係を否定した上で、実の父親が認知することが良いのだが、現状では、それは実際的ではない。
2 そこで、公正証書の中で、お子さんが離婚するご夫婦のお子さんであることをご夫婦で認めて、養育費の支払いについての公正証書を作りましょう。
親子関係を戸籍では確認できないので、公正証書の中でご夫婦で親子関係を確認して、その確認された親子関係に基づいて、養育費の支払いについての公正証書を作成する、ということです。
因みに、公正証書には、親子関係を確認するために、以下のような定めを入れます。
第1条(子の父親の確認)
夫○○○○(以下「甲」という。)と妻○○○○( 以下「乙」という。)は、本日、乙の産んだ子である○○○○○(平成25年4月8日生。以下「丙」という。)の父親が甲であることを、相互に確認する。
その結果、無事に、養育費の支払いを内容とする公正証書を作ることができました。
公証人も、色々と考えてくださったようです。
私も、このような事案は初めての経験でしたが、良い経験をさせていただき、これからの業務にもプラスになることと思います。
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