公正証書遺言のメリットとデメリット
1.公正証書遺言とは?
公正証書遺言とは、公正証書で作成する遺言、別の言い方をすると、公証人に作ってもらう遺言、です。
遺言をご自分で書かれる方も増えているようですが、公正証書遺言が作られる件数も年間11万件を超えています。
2.公証人とは?
公証人について良く知られていないようですから、この点から説明しましょう。
公証人は、法務大臣によって任命された公務員の地位を有し、法務局(法務省)に所属しています。東京都内ですと、主に裁判官・検察官の経験者が任命されていて、法律の専門家です。
公証人は、公証役場という場所で執務をされています。公証役場は、東京23区ですと、多くの区に少なくても1ヵ所はあります(中央区などには、6ヵ所もあります)。
街を歩いていると、公証役場の看板を見かけることがあります・・・下の写メは、東京都港区にある新橋公証役場の看板です。
3.公正証書遺言のメリット
(1)公正証書遺言の大きなメリットは、公証人が法律の専門家である点にあります。
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が作る遺言ですから、内容的にも間違いがありません。
法律的には間違っていることを正しいと思い込んでいることも少なくありませんが、公正証書遺言であれば公証人がチェックしてくれます。
遺言のなかでは、一番確実な遺言です。
(2)公正証書遺言の場合には、その原本が公証役場に保管されるため、紛失のおそれ、変造のおそれがありません。
この意味で、安全な遺言です。
(3)遺言をお作りになった場合、重要なものだからということで、厳重に保管し過ぎて、遺言者が亡くなられた時に、遺言が発見されなかったというケースもあるそうです。
この点、公正証書遺言の場合には、日本公証人連合会はコンピューターによる検索システムを作りました。これは、公正証書遺言が作成されると、このシステムに登録され、どこの公証役場からでも、遺言が残されているかをどうかを調べることが出来るというものです。
公正証書遺言を作成された方は、その旨を家族の方に知らせておけば、相続人は遺言の存在・内容を知ることが出来ます。
このシステムも、公正証書遺言の大きなメリットです。
4.公正証書遺言のデメリット
(1)公正証書遺言の場合には、遺言の内容が公証人と証人(公正証書遺言の作成には、2人以上の証人が必要です。)には知られてしまいます。従って、遺言を作成したこと及びその内容を完全に秘密にすることは出来なくなります。
ただ、行政書士等に証人をご依頼いただければ、秘密にすることが出来ます。
(2)公正証書遺言の場合には、通常は、公証役場に2回は行く必要があるでしょうし、また、公証人への手数料が掛かります。
従って、ご自分で書かれる自筆証書遺言と比べれば、公正証書遺言の作成は、少し面倒で、費用が掛かる点がデメリットです。
ただ、この点も、行政書士等にご相談いただければ、ご負担を軽減できると思います。
5.この様に、公正証書遺言にはデメリットもありますが、やはり、そのメリットは大きく、遺言を公正証書遺言にしておく安心感は大きいと思います。
公証役場 紹介
千代田区にある霞ヶ関公証役場のご紹介です。
千代田区には4つの公証役場が多くありますが、その1つが霞ヶ関公証役場です(他には、神田、丸の内、麹町に公証役場があります)。名前に「霞ヶ関」と付いていますから、てっきり霞が関の官庁街にあるのかと思っていましたが、霞ヶ関の官庁街から新橋の方向へ向かった日比谷公園の横にありました。
この霞ヶ関公証役場で驚いたことが2つあります。
1つは、地下1階にありました。地下にある公証役場は、東京では、霞ヶ関公証役場だけかも知れません。
もう1つは、新橋公証役場と直線距離にして100メートル位しか離れていませんでした。こんなに近い距離に公証役場が2つあるのは珍しいのではないでしょうか。霞ヶ関公証役場は千代田区の公証役場で、新橋公証役場は港区の公証役場ですから、偶然なのでしょうが・・・
【霞ヶ関公証役場】 千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル地下1階 電話 03(3502)0745
霞ヶ関公証役場のホームページ 詳細はこちら >>
落ち込んだり泣いたりと、離婚は感情が変化すると
思いますので、なんでもご相談くださいませ。
よくある質問 相談について
遺言についてよくある質問についてご紹介いたします。
相談にはお金がかかりますか? 相談をしたいのですが、どうしたらいいですか? |
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お電話でのご相談は、常時、無料でご利用いただけます。30分程度でしたら、お話をさせていただきますので、お気軽にご相談くださいませ。 まずは、お電話でも、メールでも、ご都合のいい方法で、ご連絡くださいませ。 初めてのご連絡には、勇気が必要かも知れませんが、少しだけ勇気を出してください。「連絡して良かった。」と思っていただけるよう、心がけております。 |
遺言を作って、特定の財産(銀行預金など)をお世話になった方に遺贈したいと思っていますが、遺贈を受ける方は、財産をもらわないとすることもできるのでしょうか? |
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特定の財産を遺贈しようという場合ですから、これは特定遺贈ですね。特定遺贈では、遺言を作った方が亡くなった後は、遺贈を受ける方は、いつでも遺贈を放棄(遺贈を受けないという意思表示)することができます。遺贈を受ける方の意思を尊重しようとしているのですね。
なお、義務も一緒に遺贈の対象となっている包括遺贈の場合(例えば、内縁の配偶者に全財産を包括遺贈する等のケース)には、遺贈を受ける方は「相続人と同じ立場に立つ」とされていますので、遺贈の放棄は、自己に対する遺贈があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。 |
予備的遺言というものがあるそうですが、予備的遺言とは、どのようなものですか? |
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予備的遺言とは、補充遺言とも言いますが、以下のようなものを言います。
例えば、奥さんとお子さんが二人いるAさんが、遺言を作ろうとしたとします。 その場合、通常は、奥さんとお子さん二人に、どの財産を相続させるかを遺言に記載することになりますね。しかし、もしかしたら、奥さんはAさんが亡くなる以前に亡くなるかも知れません。そこで、その場合に備えて(予備的に)、奥さんが先に亡くなったときには、「奥さんに相続させるつもりであった財産をどうするか」も記載しておくことが出来ます。これを、予備的遺言と言います。
実際の遺言作成では、良く使われます。 |
遺贈では、遺言執行者を決めておいた方がいいのでしょうか? |
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遺贈とは、遺言で財産を贈ることを言います。 例えば、内縁の奥さんが居る場合に、財産を、相続人である兄弟にではなく、遺言で内縁の奥さんへ贈ることがそうです。 この場合、遺言内容を実現するために、銀行などの手続きが必要ですが、遺言執行者の指定がなければ、相続人がその手続きをする必要があります。しかし、どうでしょうか・・・相続人である兄弟は、それを喜んでするでしょうか。面白くない相続人も居るかも知れませんから、内縁の奥さんを遺言執行者として、遺言内容を確実に実現させる方がいいですね。 従って、遺贈する場合には、その遺贈を受ける方を遺言執行者としておくことがいいです。 |
ご相談などございましたら、ぜひ瓜生(うりゅう)までご連絡くださいませ。