財産分与の割合は?分ける基準を解説します。

 

1.財産分与の割合は?

ご夫婦が結婚中に協力して築いた財産が、財産分与の対象となり、清算されることになります。

それでは、どのような割合で財産分与されるのでしょうか?

財産分与の割合については、法律上具体的な基準は定められていません。
財産分与について、ご夫婦が話し合いで合意できない場合には、家庭裁判所に申し立てができますが、そのときは「家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、・・・分与の額及び方法を定める。」(民法768条3項)とされているにすぎません。

従来の裁判例については、共働き夫婦であれば、財産分与の割合は2分の1ずつとされる例が多く、専業主婦の場合には、妻には30~40%の財産分与を認める例が多いようだ、という指摘がありました。

他方、現在の清算的財産分与の実務では、財産分与の原則として、夫婦平等に分けるという「2分の1ルール」が、かなり定着しているという指摘があります。

 

財産分与の割合。

 

この背景には、子供がいる場合の配偶者の相続分が2分の1とされていることがあります。
「死に別れが相続」「生き別れが財産分与」ですが、夫が死亡した時には、夫の財産の半分が妻のものとされるのであれば、それとのバランスからして、離婚の時にも、財産の半分は妻のものであるという考えです。

 

また、平成8年に法務省が作成した民法の改正案の中では、財産分与も取り上げられました。そして、財産分与について「当事者双方がその協力により財産を取得し、又は維持することについての当事者の寄与の程度は、その異なることが明らかでないときは、相等しいものとする」とされています(この改正案は、現時点では成立していません。)。

 

このようなことから、清算的財産分与については「2分の1ルール」が大きな流れとなっていると指摘されています。

ただし、法務省の改正案においても、2分の1ずつ分けなければならない、とはされていません。財産の形成・維持について、夫婦間で寄与の程度が異なっていれば、財産分与の割合も2分の1ずつとはされないのです。

 

結局、財産分与の割合については、原則として夫婦平等に分けるという「2分の1ルール」を基準としながら、財産形成・維持についてのご夫婦間での寄与の程度(貢献度)を考慮して、ケース・バイ・ケースで検討することとなると思います。

 

2.財産分与の内容が決まったら書面の作成

財産分与の具体的内容については、ご夫婦の話し合いで決めることになります。話し合いで合意できないときは、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

ご夫婦の話し合いで財産分与の具体的な内容が決まれば、離婚協議書等の書面を作っておくべきです(財産分与の取り決めの法律的な性質は、契約です。)。口約束では、あとで「言った」・「言わない」という言い争いにならないとも限りません。財産分与として、自分が取得する財産を明らかにし、自分の権利を明確にして守るために、書面で財産分与の内容を明確にしておくことは必須のことのように思います。
金銭等の財産に関することであり、離婚後の生活にも関係してくることですから、あとあとのトラブルを防止し、自分の権利を守るために、明確な証拠を残しましょう。

また、支払方法としては、一括払いが良いのですが、ご事情によっては分割払いになるかも知れませんし、支払時期まで間隔が空くかも知れません。
そのような場合には、できれば公正証書を作成しておきたいものです。また、分割払いであれば1回目の支払を多くしおく等の工夫もあるでしょう。ご夫婦のご事情に応じて考えてみてください。

 

 

 

ページ名 「財産分与の割合は? 分ける基準の解説 離婚後の安心をサポートさせていただきます」
文責 行政書士による協議離婚サポート・東京運営 東京都杉並区 行政書士 瓜生和彦

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よくある質問 相談について

離婚、公正証書についてよくある質問についてご紹介いたします。

 

離婚では、どのような時に、公正証書を作っておくべきですか?

公正証書は、期限の決まった金銭の支払いを内容とする約束で、金銭の支払いが滞ったときに、強制執行の根拠になります。ここに公正証書を利用するメリットがあるのです。

そこで、離婚について言えば、養育費の支払いについて約束がある場合には、公正証書を作っておくべきですね。その他に、慰謝料の支払いがある、財産分与としてお金の支払いがある場合なども公正証書を作っておくべき場合ですね。

 

その他にも、公正証書は、公証人が作る公文書で信用力・証明力が強いですから、しっかりした信用性のある証拠を作っておきたい場合にも、公正証書の作成を考えることがあります。最近扱った例では、7年先の退職金についての財産分与の契約を公正証書でしました。これは、強制執行できる契約ではなかったのですが、奥様がしっかりとした契約を信用性の強い公正証書ですることを希望されたのです。将来の紛争を未然に防止しようとされたのです。

 

公正証書の作成についてお悩みであれば、ご相談くださいませ。

 

 

離婚の公正証書ができるまでの流れは、どうなりますか?

概略、以下のようになります。
ご夫婦の合意ができると、それをまとめ、戸籍などの資料と一緒に、私が公証役場へ持参し、公証人に公正証書の作成を依頼いたします。公正証書の原案ができるまでには、公証人や公証役場と何回か連絡を取ることも多いのですが、その連絡も私が行います。
その後、公証人は、公正証書の原案を作成して、私へ送って来ます。この公正証書の原案を、ご主人・奥様それぞれに確認していただきます。
原案に問題がなければ、公正証書に署名押印する日時を予約して、当日、公証役場で署名押印して公正証書が完成します。

 

 *公正証書ができるまでを、物語風にご説明したページもあります。こちらからどうぞ。>>

 

 

公正証書を作るために、当方の考えをまとめた、相手方への提案書のようなものを作って頂きたいのですが、可能でしょうか?

はい、そのようなお手伝いもさせて頂きます。

公正証書を作るために相手の方と話をするのであっても、相手の方が具体的なイメージを持てるようにした方が話が進みやすいこともありますね。

また、提案書を作る過程で、ご自身のお考えをまとめることも出来ます。

そのようなご依頼もありますから、お気軽にご連絡ください。

 

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ご相談ならぜひ担当スタッフまでお問合せくださいませ。

 

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