離婚と税金(2) 財産分与と税金
結婚生活が長くなればなるほど、離婚の際、「財産分与」について色々と決めておくべき事項が多くなります。「財産分与をどう決めるか。」だけでも大変なことがあるのに、さらに税金のことも考えるとなると、悩みが増えます。ここでは、財産分与と税金について、大きな基準をお示ししようと思います。
ご存知のとおり、税金は税理士さんが専門ですから、詳しくは税理士さんにお尋ね頂きたいと思います。ここに記載していることは、ご参考としてご覧下さい。税理士さんのご紹介をご希望の方には、私が親しくさせていただいている税理士さんをご紹介いたしますので、お気軽にご連絡いただければと思います。
(1)財産分与を預金などの金銭で支払う場合
財産分与を預金などの金銭で支払う場合には、支払った方にも、受け取った方にも税金の問題は生じないのが原則です。
「金銭を受け取った方に贈与税が課税されるのでは・・・」と心配になる方もいらっしゃるかも知れませんが、贈与税が課税されることも原則としてありません。
贈与税は、無償で(ただで)財産をもらった場合に、財産をもらった人に課税されます。それに対して、財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の際に清算すること等を目的としています。財産分与は、いわば財産を分与する義務に基づいてされるのであって、贈与とは異なる性質のものなのです。
ただ、例外もない訳ではありません。少し詳しくなりますが、一応、ご紹介しておきましょう。税務署内部の通達によれば、Ⅰ財産分与した財産が、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産その他一切の事情を考慮しても、あまりに多すぎる場合、または、Ⅱ贈与税や相続税を免れるために財産分与をしたと認められる場合には、贈与税が課税されることがあります(相続税基本通達9-8)。
これらの例外は、異常なことですから、財産分与を預金などの金銭で支払う場合には、支払った方にも、受け取った方にも税金の問題は生じない、と考えておけば良いと思います。
(2)財産分与の対象が不動産・株式などである場合
Ⅰ 財産分与した方
代表的なものは不動産や株式ですが、評価額が変動する資産を財産分与した場合は、譲渡したことによって得た利益(これを譲渡所得と言います。)について、譲渡所得税が問題となります。
誤解を恐れずに簡潔に言ってしまうと、財産分与の場合には、財産分与した財産の時価から、財産を取得した時の価格を引いて、プラスになっていれば、それを譲渡所得として税金が課されるということです。逆に、その財産が値下がりした場合には、譲渡所得はなく課税されないことになります。
譲渡所得税については、ページを改めて、少し詳しくご説明しようと思います。 → こちらをご覧ください。
Ⅱ 財産分与を受けた方
1.贈与税
財産分与の対象が不動産・株式であっても、財産分与を受けた方に贈与税は課税されません。これは、財産分与を預金などの金銭で支払う場合と同じです。(1)の説明をご参照ください。
2.不動産取得税
不動産が財産分与の対象である場合、不動産取得税が課税されることがあります。この不動産取得税は、税率や軽減措置が、非常に分かりにくくなっています。
東京都の場合ですと、都税事務所へ相談に行くと詳しく教えてもらえます。
3.登録免許税
登録免許税とは、不動産登記の際に納める税金です。固定資産評価額の2%です。意外と高額になりますから、注意が必要です。
財産分与をする場合には、通常は離婚協議書または公正証書を作成することでしょう。その際には、譲渡所得税や登録免許税には注意してください。譲渡所得税を払うケースでは、財産分与の内容を決める際に、税金の支払いに困らないように配慮して、財産分与の内容を決める必要があるでしょう。また、登録免許税についても、どちらが負担するのか、二人で負担するのならば負担割合を決めておいた方が良いでしょう。
ページ名 「離婚と税金(2) 財産分与と税金 離婚後の安心をサポートさせていただきます」
文責 行政書士による協議離婚サポート・東京運営 東京都杉並区 行政書士 瓜生和彦
落ち込んだり泣いたりと、離婚は感情が変化すると
思いますので、なんでもご相談くださいませ。
よくある質問 相談について
離婚、公正証書についてよくある質問についてご紹介いたします。
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離婚するのですが、財産分与として金銭の支払いがあります。 このような場合も、公正証書を作るべきでしょうか? |
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公正証書は、支払金額と支払期限が決まっている約束をしたにも拘わらず、金銭の支払いが滞ったときに、強制執行の根拠になります。支払を強制できるという点で、ここに公正証書を利用するメリットがあるのです。 そうすると、財産分与としての金銭の支払いが、離婚前に済むのであれば、支払が滞ることはありませんから、公正証書を作成する必要はありませんね。 他方、財産分与としての金銭の支払いが、離婚後となるのであれば(一括払いでも、分割払いでも)、支払が滞るおそれがありますから、公正証書を作成しておく必要があります。 |
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離婚することを決めましたが、夫婦ともに働いていて忙しいので、公正証書を作るためにあまり時間を割くことが出来ません。そのため、公証役場へ行く回数も最低限にしたいと思っています。 公正証書を作成するサポートをお願いすると、依頼者は公正証書に署名押印する日だけ公証役場へ行けばいいのでしょうか? |
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はい。依頼者の方は、公正証書への署名押印の日だけ公証役場へ行っていただければ、公正証書を作ることができます。
【公正証書ができるまでの流れを簡単に記載すると、以下のようになります。】 私は、依頼者の方と連絡を取りながら公正証書の内容を考えますが、その内容が決まると、私が公証役場と連絡を取ります。 公正証書の内容については、公証役場や公証人と、何回か連絡をとることも多いですが、その連絡も私が行います。そして、公証人が公正証書の案文を作成すると、私に送って下さいますから、それをご夫婦で確認していただき、内容に問題がなければ公正証書の内容が決まります。 その後、ご夫婦で日程の調整をしていただいて、公証役場へ予約を入れ、当日、公証役場で署名押印をして公正証書が完成します。
依頼者の方は、公正証書の内容を決めるために私と連絡をとる必要がありますが、公証役場との関係は、連絡を含め全てを私が処理し、依頼者の方は、最後の署名押印の日に、公証役場へ来ていただければ、公正証書を作ることができます。もちろん、公証役場へ行くときには、私も一緒に行き、公正証書の完成を見届けます。 |
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公正証書で強制執行するためには「送達」が必要だそうですが、「送達」とは何ですか? |
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「送達」についてのご質問ですが、難しい点もありますので、ザックリとご説明します。
例えば、離婚のときに公正証書を作って、養育費の支払いの約束をしましたが、万一、養育費の支払が滞って、強制執行が必要になったときには、強制執行を開始する前に、公正証書の謄本(コピー)を養育費を支払う方(ご主人のことが多いですね)へ送る必要があります(これを、「送達」と言い、公証人が送ります)。「この約束を忘れていませんか?」と通知するためで、最後通牒のようなものです。
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