公正証書ができるまで(5)・・・公正証書の完成
公証人に公正証書の作成を依頼した2日後に、公証役場からFAXがきました。
公証人は、公正証書の作成を依頼されると、公正証書の原案を作成して、それをFAXしてきます。内容が、依頼された内容と同じかどうかを確認してもらうためです。同時に、公証人に支払う手数料もFAXされてきます。
公証人には、このような内容の公正証書を作成していただきたいのですが、と依頼しています。ただ、公証人によって、使う言葉・文体が、かなり違うようです。依頼した時に渡した文体と、公証人の文体とが大きく異なることが少なくありません。もちろん、意味内容は全く同じです。
そこで、「この書面でよろしいですね?」という意味でFAXしてくるようです。
FAXを受け取り、まず、私が内容を確認した後、吉澤さん(仮名)・ご主人へ郵送しました。
ご主人へは、私への委任状も同封します。また、念のため、お電話でお話もし、委任状には実印での押印をお願いしておきました。
吉澤さん・ご主人からは、すぐにお返事をいただき、ご主人の委任状も届きました。
(世田谷公証役場が入居しているビルの入り口です。世田谷公証役場は、三軒茶屋のキャロットタワーの斜め横のビルにあります。1階がドコモショップになっているビルです。)
次は、公正証書に署名・押印する日時を決めます。公証人・吉澤さんと連絡をとって、具体的な日時を決め、予約をして公証役場へ行くのです。予約は、吉澤さんのお仕事の関係で、次の週の火曜日午後2時としました。
私と吉澤さんは、2時前に駅の改札付近でお会いすることとしました。かなり頻繁に連絡を取っていましたが、この時が、初対面です。私は、緑のバッグを持っていますと目印をお教えしておきましたが、いざとなれば携帯電話で連絡を取ります。
仕事柄、初対面の方と待ち合わせをする機会も多いのですが、意外と簡単に相手の方が分かるものです。お互いにキョロキョロしているということでしょうか。
吉澤さんとお会いした時には、私が先に着いてお待ちしていると、正面から手を振りながら来られたという感じでした。
電話ではお話していても、実際にお会いすると、やはり緊張します。
公証役場は、駅から5分程です。お話をしながら行きましたが、「私は、そういう所は苦手なんです。緊張します。」とおっしゃっていました。
公証役場に着くと、まず、ご主人の委任状を提出します。
また、ここでも、公証人からは、公正証書の原案が渡され、「内容を確認してください。」とのお話があります。この場になって、大きな間違いに気付くことがありますから、丁寧に読む必要があります。
吉澤さんの時には、表現が多少気になるという部分がありました。意味内容としては同じなのですが、気持ちとしては、この表現は気になるという感じです。
その部分については、公証人とお話をして差し替えていただきました。
この後、吉澤さんと私で、署名・押印(実印です)して公正証書の完成です。
公正証書の原本は公証役場で保管されます。
また、強制執行をする可能性のある立場の方(債権者ですね)には、公正証書の正本が渡されます。今回は、吉澤さんです。
逆に、強制執行をされる可能性のある立場の方(債務者ですね)には、公正証書の謄本が渡されます。ご主人の代理人として、私が受け取りました。
全てを終えて公証役場から出てくるまでに、1時間は掛からなかったと思います。
出来たばかりの公正証書を受け取って、駅まで戻ると喫茶店がありました。交通費の精算もありますから、そこで一休みとしました。吉澤さんも、先ほどと比べて、幾分、安心されたかのように見えました。
苺の季節だったからでしょうか、自家製のショートケーキが美味しそうだったので注文すると、大きなショートケーキが出てきたのを憶えています。
公正証書の謄本は、私からご主人にお送りしました。
1週間後、吉澤さんから、離婚届を出しました、というメールをいただきました。
また、半年程後にも、養育費が振り込まれています、というご連絡をいただきました。
行政書士がサポートさせていただきながら、離婚の公正証書が出来るまでをご紹介いたしました。ご参考になりましたでしょうか。離婚関係の仕事をする行政書士も増えている、と思います。行政書士のご活用もお考えいただければ、と思います。
この物語については、複数のご依頼から学んだことを参考にしましたが、フィクションであることを、改めて、お断りしておきます。また、吉澤さんというお名前も、物語に具体性を持たせるために使用しており、実在する方々とは、無関係であることも、お断りしておきます。
ページ名 「公正証書ができるまで(5)・・・公正証書の完成 離婚後の安心をサポートさせていただきます」
文責 行政書士による協議離婚サポート・東京運営 東京都杉並区 行政書士 瓜生和彦
落ち込んだり泣いたりと、離婚は感情が変化すると
思いますので、なんでもご相談くださいませ。
よくある質問 相談について
離婚、公正証書についてよくある質問についてご紹介いたします。
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離婚することには合意しましたが、養育費などの約束は、これから話し合います。 離婚協議書か公正証書を作りたいと思っていますが、具体的には、まだ何も決まっていませんが、相談に乗ってもらえますか? |
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具体的な話し合いはこれからするというときでも、ご相談にお乗りいたします。 話し合いの前に、ご相談いただくことは、事前準備ができますから、プラスも多いかと思います。 |
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どのようにして離婚協議書を作るのですか? |
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ご依頼によって、色々なケースがあり、離婚協議書を作成する過程も様々ですが、1例をご紹介しましょう。 「お電話かメールでご連絡をいただいた後、一度、ある程度時間を取って、お電話でお話をして、ご事情をお聞きしたいです。 お電話は、夜、土日など、依頼者様のご都合に対応できますので、ご安心ください。 その後、できればお会いして、離婚協議書の内容について、具体的にお話をしたいです。 その先は、電話・メールでご連絡を取りながら、離婚協議書を作成できることが、通常です。」 |
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離婚では、どのような時に、公正証書を作っておくべきですか? |
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公正証書は、期限の決まった金銭の支払いを内容とする約束で、金銭の支払いが滞ったときに、強制執行の根拠になります。ここに公正証書を利用するメリットがあるのです。 そこで、離婚について言えば、養育費の支払いについて約束がある場合には、公正証書を作っておくべきですね。その他に、慰謝料の支払いがある、財産分与としてお金の支払いがある場合なども公正証書を作っておくべき場合ですね。
その他にも、公正証書は、公証人が作る公文書で信用力・証明力が強いですから、しっかりした信用性のある証拠を作っておきたい場合にも、公正証書の作成を考えることがあります。最近扱った例では、7年先の退職金についての財産分与の契約を公正証書でしました。これは、強制執行できる契約ではなかったのですが、奥様がしっかりとした契約を信用性の強い公正証書ですることを希望されたのです。将来の紛争を未然に防止しようとされたのです。 |
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