公正証書ができるまで(2)・・・「打ち合わせ」
次の朝、9時前に電話がかかってきました。吉澤さん(仮名)です。
本当に申し訳なさそうに、謝っていらっしゃいました。朝から夕方までパートで勤めていて、疲れてしまい、お子さんを寝かせながら、つい一緒に寝てしまったそうです。
「気にしないで下さい。」とお伝えして、夜10時頃にお電話をいただく約束をしました。
夜10時過ぎに、吉澤さんから電話がきました。
これからの進め方としては、吉澤さんとご主人とで話し合ってきた内容で公正証書の原案を作り、それをもとにして、お二人に再び話し合っていただくこととしました。
具体案をもとに話し合ったほうが、何を考えたら良いか・何を決めたら良いかが明確になり、話し合いも進みやすいようです。考え方の違いがはっきりして、揉めても困るのですが・・・
(武蔵野公証役場の入り口です。JR吉祥寺駅から東急百貨店へ向かうと、東急百貨店の先に武蔵野公証役場があります。JR吉祥寺駅から徒歩5~6分です。ポスターに書かれている「未来への約束を、公正証書が守ります。」という言葉に、公正証書が果たす役割が言い表されていますね。)
例えば、いただいたメールでは養育費は、「毎月6万円で月末までに支払う」となっていました。吉澤さんにお聞きすると、(1)金額は6万円 (2)月末までに支払う という内容については、明確な合意があるそうです。
そうすると問題は、ご主人が養育費を支払うのは何時までか、という点です。これについては、学校を卒業するまでという話し合いがあったそうです。
学校といっても、高校・専門学校・大学とあります。
そこで、吉澤さんとご相談して、原案には
(1)高校を卒業して働く場合には、高校卒業の時まで
(2)専門学校に進学した場合には、専門学校卒業の時まで
(3)大学に進学した場合には、大学卒業の時まで
ご主人が養育費を支払うこととしました。
次は、養育費の支払方法です。これについては具体的に話し合われたことはないそうです。そこで、吉澤さんとご相談し、お子さん名義の口座を銀行に作って、ご主人がその口座に振り込むという原案にしました。
養育費を銀行・郵便局の口座に振り込む場合、その口座の名義人はお子さんとするケースも少なくありません。
養育費は、もともとお子さんのためのものですから、そうあるべきとも言えるのかも知れません。また、別々に暮らす父親にしても、別れた奥さん名義の口座に振り込むよりも、お子さん名義の口座に振り込む方が、お子さんのために振り込んでいるという実感を持てて、養育費の振込みの継続の点でも、父子関係を保つという点でもプラスでしょう。
電話でのお話は、1回の電話に1時間~2時間、回数にして数回、お話しすることもあります。
例えば、養育費のお話をしていても、それに関連するお話が出てくることもありますから、時間が必要です。
「今まで、お話できる相手がいなかったのだろうな。」と思うことも良くあります。
ちなみに、お会いすれば、2時間・3時間はあっという間ですし、涙ながらのお話となることもありました。
このようにして、公正証書の原案を作っていきますが、時には急に電話がかかってきて、「学資保険に入っていることを思い出しました。」ということもあります。お子さんを被保険者として学資保険に入っている場合には、保険料の支払いについて決めておくこともあるのです。
私と話していく過程で、新たに気づかれる点もあるようです。
なお、私の報酬については、吉澤さんの場合、第1回目の夜の電話の後に、私の銀行口座に振り込んでいただきました。お会いせずに、電話・メールで仕事を進める場合には、着手金(報酬の一部)は早い段階で振り込んでいただいています。
交通費等の実費については、公正証書の完成後に精算させていただいています。
この物語については、複数のご依頼から学んだことを参考にしましたが、フィクションであることを、改めて、お断りしておきます。また、吉澤さんというお名前も、物語に具体性を持たせるために使用しており、実在する方々とは、無関係であることも、お断りしておきます。
ページ名 「公正証書ができるまで(2)・・・「打ち合わせ」 離婚後の安心をサポートさせていただきます」
文責 行政書士による協議離婚サポート・東京運営 東京都杉並区 行政書士 瓜生和彦
落ち込んだり泣いたりと、離婚は感情が変化すると
思いますので、なんでもご相談くださいませ。
よくある質問 相談について
離婚、公正証書についてよくある質問についてご紹介いたします。
離婚では、どのような時に、公正証書を作っておくべきですか? |
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公正証書は、期限の決まった金銭の支払いを内容とする約束で、金銭の支払いが滞ったときに、強制執行の根拠になります。ここに公正証書を利用するメリットがあるのです。 そこで、離婚について言えば、養育費の支払いについて約束がある場合には、公正証書を作っておくべきですね。その他に、慰謝料の支払いがある、財産分与としてお金の支払いがある場合なども公正証書を作っておくべき場合ですね。
その他にも、公正証書は、公証人が作る公文書で信用力・証明力が強いですから、しっかりした信用性のある証拠を作っておきたい場合にも、公正証書の作成を考えることがあります。最近扱った例では、7年先の退職金についての財産分与の契約を公正証書でしました。これは、強制執行できる契約ではなかったのですが、奥様がしっかりとした契約を信用性の強い公正証書ですることを希望されたのです。将来の紛争を未然に防止しようとされたのです。
公正証書の作成についてお悩みであれば、ご相談くださいませ。 |
離婚の公正証書ができるまでの流れは、どうなりますか? |
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概略、以下のようになります。
*公正証書ができるまでを、物語風にご説明したページもあります。こちらからどうぞ。>> |
離婚の公正証書を作った時には、「送達」をしておいた方がいいのでしょうか? |
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公正証書で強制執行するためには、強制執行を開始する前に、公正証書の謄本(コピー)を債務者(養育費や慰謝料を支払う方)へ送る必要があります(これを、「送達」と言い、公証人が送ります)。「この約束を忘れていませんか?」と通知するためで、最後通牒のようなものです。
ただ、公正証書の場合には、特殊な対応が認められています。つまり、公正証書を作る時に、債務者が公証役場に来るのであれば、その場で、債務者へ謄本を渡して、受取を作ることで、この送達を終わらせることができます。これを、「交付送達(または、公証人送達)」と言います。 公証役場の実務では、交付送達が行われのが、通常だと思います。特に、離婚で、養育費の支払いが約束される場合には、養育費の支払い期間が長くなり、債務者の住所などが分からなくなる恐れもありますから、公正証書を作った時に、「交付送達」をしておくことをお勧めします。 |
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